【書誌】
二軸。寸法、縦38.0糎、横・上863.2糎、下1011.5糎。挿絵数・上十三図、下十四図。模写本。料紙は薄様で裏打ちなし。江戸末期の製作。
【内容】
庶民物の御伽草子で、隣の成功を羨んだ者の失敗談である。ある男が信心深い妻のすすめで道祖神に通い、小柑子ほどの鉄の鈴を賜わる霊夢の告げを受け、夢合せをしてもらうと、身の内より思いの外の声が出て、「あやつゝ、にしきつゝ、こがねさらヽ」と放屁の音がするようになる。車に乗って通りかかった中将殿に召されて施芸し、成功して綾錦等を賜わり、長者になった。隣に住む男(福富)は、妻にうながされて長者の弟子になり、放屁の術を習い、同じように中将殿の前で施芸すると、汚いものを撒き散らしたので、家来などに打ちこらされてひどい目にあって帰ってきた。これを見た福富の妻は福富がいろいろな御衣をいただいたものと早合点し、自分の古着をみな焼いてしまう。(日本古典文学大辞典より)