御成敗式目 トップへ
御成敗式目について

【書誌】
 版本1冊。法量、縦26・5糎、横18・2糎。25丁。料紙は楮紙。江戸前期刊か。袋綴。半丁につき7行。1行につき約15字。灰色無地表紙(後補)。外題なし。内題「御成敗式目 貞永元年八月十日」。小槻伊治の刊語あり。柱題「式目」。丁付あり。見返しに「正徳貳年(1712)米田氏/善右衛門」の識語あり。印記「大谷女子大学図書館」。本文に字音・仮名・返点等を付す。

【内容】
 『御成敗式目』は貞永元年(1232)に制定された鎌倉幕府の基本法。全51箇条からなり、守護・地頭・御家人の権利・義務、所領の訴訟や、対朝廷・本所関係などの重要事項について、慣習法や判例を成文化する。室町幕府法や戦国家法にも強い影響を与え、広く武家法の基本となった。その関係で、数多くの写本・刊本が伝えられている。

 本学所蔵本の刊語に見える小槻伊治(大宮伊治、1551年没)は室町時代の官務家。官務は太政官の史の最上首で、平安中期から算道の小槻氏が大夫史ないし官務を世襲した。
 伊治は大永四年(1524)、享禄二年(1529)に『御成敗式目』を刊行している。本学所蔵本に年記は記されていないが、刊語の本文は享禄版と一致する。
 また第4条に「財物」、第18条に「志孝」(菅本等では「贓物」「忠孝」)とあり、さらには第6条に「沙汰来」(菅本等では「沙汰出来」)とあることから、本学所蔵本は清原家系の本文をもつことが知られる。そのことは、刊語に「加清家點」とあることと対応する。

【参考文献】
池内義資『御成敗式目の研究』(平楽寺書店、昭和48年)